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クリニック設計 コストダウンを図る 空調設備編 

クリニック設計 コストダウンを図る

空調設備編 

今回はクリニックの設備に欠かせない空調換気設備についてお話したいと思います。

空調設備とは簡単にいいますと、エアコンのことですね。

開業するに当たり、スケルトンの場合、当然空調設備は設置されていないわけでドクター負担で取り付けることとなります。

一方で事務所仕様のテナントに入居する場合にはエアコンがはじめから付いていおります。

こう考えるとエアコンが付いているので内装にかかる費用が軽減されるのではないか?と思われるドクターも多いでしょう。

当然既設のエアコンを流用はするのですが、通常事務所仕様の場合には、天井埋込型で4方向の吹き出し口のあるものが数台付いています。

事務所として使用する場合には、あまり間仕切を天井まで仕切ることは少ないので事足りますがクリニックとして考えるならば、各部屋の間仕切りは当然天井まであり、隣の部屋の会話が聞こえないように配慮するのが普通である。

すると当然エアコンの台数が足りず、増設する必要が出てきます。

既存のエアコンはもちろん使用できますが、容量が大きいもので大きい部屋にしか使うことができません。

大きな部屋としてクリニックでは通常は待合室と処置室でしょう。

ここでも気をつけなければならない点はこの複数台のエアコンが一つのリモコンでしか操作できない場合、スイッチの入切、温度調整が個別ではできない仕様となる。

よって待合室の日当たりがよく、夏暑くなる場合、温度を下げるが、同時に処置室も温度が下がる。この結果処置室が寒くなりすぎる状況が起きてしまいます。

時には既存で設置してあるエアコンを使用せずに天井内に隠ぺいしたり、処分する場合もあります。

1Fに入居するのであれば、外壁廻りに室外機をいくつか設置してエアコンを増設することが容易ですが、ビルの上層階にて開業を検討する場合には注意が必要です。

特に屋上に室外機置場を指定されている場合やスペースが狭い場合にはクレーン車にて設置するケースやビルマルチエアコンという高額な設備を導入せざるを得ないからである。

ビルマルチエアコンとは1台の室外機で複数台のエアコンを動かせるシステムです。

さらに各エアコンのスイッチの入切、温度調整も可能である。

もしこのシステムを導入せざるを得ない場合にはクリニックの大きさにもよりますが、空調設備工事で200-400万円程度コストがかかってくるでしょう。

都心部でのテナント開業ではたくさんの制約があり比較的多く使われているシステムでもある。

また室外機もかなり大型になるために、設置場所の確認も必要です。

換気設備についても注意が必要です。各部屋に換気扇を設けるのは普通ですが空気を外に捨てる分だけ外部より新鮮空気を取り入れる給気を設ける必要があります。

換気設備を考える場合にはしっかりと給気と排気のバランスを計算しておかないと、ドアが開けにくくなったり、音鳴りがする原因になるので注意してほしい。 また臭いの気になる部屋である内視鏡室やレーザー室などは通常より能力の高い換気扇を設置しなければならなりません。

間仕切壁を天井まで立ちあげずに設計し、空調や換気設備の工事費を削減する方法もありますが、隣の部屋の会話が筒抜けになってしまいます。近年では患者さんのプライバシーを保護するためにこのような設計手法はほとんどとらないのが普通です。

クリニックを開業するにあたり、やはり患者さんが安心でき、居心地の良い環境を一番に考えて設計する必要があります。

空調設備に関しては状況によりコストダウンが図れる場合と難しい場合があり、現地を調査してみないことにはアドバイスを行うことが非常に困難です。

開業希望テナントを見つけた場合は不動産契約をする前に、医療設計に詳しい専門家に調査をしてもらうことをお勧めいたします。