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クリニック設計  コストダウンを図る 電気設備編

クリニック設計  コストダウンを図る

電気設備編

 

今回は電気設備工事についてお話したいと思います。

電気設備工事というと、皆さんは照明器具やスイッチ・コンセントを思い浮かべると思います。

特殊な照明器具を除くと、これらの単価はスイッチやコンセントで数百円(調光スイッチは除く)、照明器具でも5万円位が上限ではないでしょうか?

ではなぜクリニックの電気設備は百万円単位の金額がかかってしまうのでしょうか?

 

・入居されるテナントにより工事金額が大きく変わってきます。

 

特に新築ビルの場合、電気のメーターや分電盤が付いていない場合があります。

このケースでは入居者であるドクターの費用負担で設置することとなります。

金額的には電灯・動力メーター・分電盤と中のブレーカーで総額30~40万円ほど余計な出費になります。

また分電盤が付いていても容量が足りない場合もあります。医療機器の中には電気容量が大きいものがありますのでテナント選定の際には導入したい医療機器の電気容量がどのくらいになるか確認が必要です。

容量が足りない場合、キュービクル(金属製の大きな変電設備で通常は屋上に設置されているケースが多い)の中のブレーカー容量を大きなものに交換してテナントまでの幹線を太いものに引きなおすこともあります。

この工事でも大雑把ですが25~40万円ほどの出費となります。

このように入居予定の建物の状況により内装工事金額が大きく変わってくるので注意が必要です。

入居を決めてしまう前に専門家にチェックしてもらうほうが賢明かと思います。

 

照明器具の選定についても坪単価を抑える工夫があります。

やはり新規開設のクリニックでは洒落た雰囲気を醸し出すために照明器具の選定はしっかりとしたいものです。

しかし中にはあまり関係のない場所にまでお金をかけすぎているクリニックも見受けられます。(これは照明だけでなく、ほかの要素についてもいえることですが…)

 

患者さんがはじめての来院時に一番不安を覚える場所、それはクリニックを訪れて一番最初に目に飛び込んでくる場所である受付と待合室だと思います。

受付・待合室があまりに殺風景であったり、寒々しい雰囲気であるならば、あなたはどんな気持になりますか?余計に気分が重くなりませんか?

そんなクリニックにしないためにも壁紙は少し明るく、照明も強すぎず、弱すぎずを心がけて設計したいものです。

ラカリテでは待合室・廊下についてはダウンライトを設置するようにしています。

ランプの色も電球色にして柔らかいイメージを作るようにしています。

このダウンライトも1個4000円位です。これを30-40個ほど設置します。

診察室や処置室の場合については待合室とは発想が違います。

まず診察に必要な明るさを確保するために蛍光灯の器具を選定します。

この器具にもランクがあり、一台あたり15000円から35000円程度まで金額の差が出てきます。

特にドクターのこだわりがなければ、一番金額的に安い蛍光灯の器具(*逆富士型)で問題ありません。

診察室や処置室に入れば、ドクターと患者さんは1対1でやり取りをするでしょう。

いかに華美な装飾を施してもあまり意味をなしえません。

埋込型や小型で照度が確保できるものもありますが、設置費用、器具代が増えてきてしまいます。照明器具の種類はたくさんありますので、カタログをもとに設計士と相談してこだわる部分とそうでない部分について話し合うとよいでしょう。

細かい部分で確認しておいたほうが良い項目は・・・

BGM用スピーカーの有無

 ・ナースコール(トイレからの非常呼出)

 ・呼出マイクの有無(診察室→待合室)

 ・トイレの人感センサー(トイレに入ると自動で電気がつく→節電対策に有効) 

 

最後になりますが、電気設備工事項目で必ず確認してもらいたいのが、LAN配線の有無です。

院長室でインターネットをつなげたいという要望であればそんなにコストはかかりませんが、電子カルテ用のLAN配線があると大きく変わってきます。

最近では開業するドクターのほとんどが電子カルテを導入されます。

もちろん内装工事側で配管さえしてあれば電子カルテで業者や電話業者でも配線はできますが、サーバーを置く受付や倉庫などから各部屋に放射状にLAN配管・配線を行い、差し込みジャックを設ける工事の場合、規模にもよりますが30-50万円ほどの金額がかかります。

最初に内装工事側で見ているか、別業者で見ているかを確認することをお勧めします。

クリニックの内装工事において言えることですが、実際に見積書をみてもわからない事柄が多くあるでしょう。

納得ができるまで設計士や内装工事業者に聞いて理解をするように心がけてください。

特に入っているもの、別途工事になるものは必ず確認を怠らないようにしましょう。

これが最後に追加工事として計上されることにつながっていきます。